絶対君主制から立憲君主制へと移った現在のタイは、1992年の軍と民主化勢力との衝突以後、軍部は政治関与を控え、民主的な政権交代手続が定着しています。
経済面ではたびたび起こるクーデターの中、1997年7月タイ通貨が暴落するという事態に陥ってしまいました。そこで破綻したタイ経済を取り戻すべく、
1997年9月には民主的な内容を盛り込んだ憲法改正が行われました。この新憲法に則って2001年1月に下院選挙が行われ、タイ愛国党の圧勝によりタクシン政権が成立しました。しかし2006年2月、首相批判の高まりを受け、タクシン首相は下院を解散。4月、主要野党ボイコットのまま下院総選挙が行われましたが、後に司法当局は選挙を違憲・無効と判じました。9月、陸軍を中心とするクーデターによりタクシン政権が倒れた後、スラユット枢密院顧問官が暫定首相に就任。暫定政権の下、新憲法草案の起草が進められています。
また、外交では伝統的に柔軟な全方位外交を維持しつつ、ASEAN諸国との連携と日本、米国、中国といった主要国との協調を外交の基本方針としています。タクシン政権は近隣諸国との関係の強化、各国との自由貿易協定(FTA)締結を目指す活発な経済外交、アジア協力対話(Asia Cooperation Dialogue:ACD)の提唱等、地域において積極的なイニシアティブを打ち出しています。