タイの歴史と文化

東南アジアで唯一どこの国の植民地にもなることなく、独自の文化と発展を遂げて来たタイ王国は、少なくとも5000年前には稲作を始めた世界最初の農耕民族と言われています。豊かな大地のもとに生まれた各王朝時代を経て、現在のタイ王国が少しずつ形作られていきました。現在の場所にタイ族の国家が生まれたのは13世紀と言われています。


 13世紀初頭にはスコータイ王朝を築き、以来、アユタヤ王朝、トンブリ王朝、そして現在のチャクリ王朝と4つの王朝がタイ王国を動かしてきました。現在のチャクリ王朝は奴隷制度、労役を廃止すると共に、司法、行政制度の整備、郵便通信事業、教育制度の制定、鉄道の建設など、近代国家としての基礎を作り上げ、絶対君主制を確立しました。しかし第一次世界大戦と世界恐慌がタイに深刻な不経済をもたらすと、それまでの絶対君主制から立憲君主制へと移り変わりました。現在は現国王のプミポン・アドゥンヤデート殿下がラーマ9世として即位し、今年で59年目を迎えます。

 タイでは国民の90%以上が仏教を信仰しています。しかしタイ国憲法では信仰の自由が保障されているので、少数派としてイスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教などを信仰する人もいます。

  タイの仏教は上座部仏教(テーラワーダ仏教)といい、スコータイ時代にインドから発生し、スリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオスなど南方ルートを通って伝わった仏教の一種です。“この世に生きることは苦しみであり、苦しみの原因になるのは執着する心。その執着を断つ最も効果的な方法は出家して僧侶として修行することである”。という考えに基づいたものであり、誰もが悟りを拓くことができるといわれている日本の大乗仏教とは違います。

 

 タイにはどんなに小さな村にも必ず寺院があり、黄衣をまとった僧侶をあちこちで見ることができます。寺院は僧侶が修行する場所、祈りを捧げる場所としてだけでなく、集会所や学校の役割を果たすなど、人々の生活に密接に関わっており宗教がタイの人々にいかに根付いているということがわかります。